恋愛に関する雑記

 その人と初めてするキスは、今まで何人と唇を重ねていようとドキドキする。この瞬間の私はきっと、恋をしている。それまでは相手にたいした興味を持っていなくても、キスをした瞬間から、あるいは唇を重ねている時間だけは、相手を好きになっている。
 

恋愛の相談ほど無駄なものってないと思う。人間は気まぐれだし、恋愛なんてケースバイケースだから、正攻法なんてきっと存在しなくて、当事者ではない人にアドバイスを求めるなんて無意味。しかも、みんな答えは自分の中にあって、それを肯定してほしいだけ。

まあ、こんなことは多くの人も同じことを思っているのだろうけど、それでも他者に愚痴をこぼし、意見を求める。偉そうなことを抜かしてる私自身も無意識のうちにやってしまっていることがあって、やはり相手のアドバイスを実践することはない。だからと言って自分の中に答えがあるわけでもなく、改善策など見えないまま。
 
恋は人を臆病にする。相手に嫌われないように、機嫌を損ねないように、当たり障りのない言葉を選ぶ。だから本当に言いたいこと、言うべきことは飲み飲んでしまう。けれど、言う必要のないことばかりがボロボロと口をついて出てくる。嫌われることが怖い。自分が悪いと思っていなくても、すぐに謝ってしまう癖がある。直さなければならないと思ってはいても、上辺だけの謝罪をやめたらどうなってしまうのだろう、と考えることすら恐ろしい。恋の前に臆病になってしまった私の言いたいことに比例して、言えないことが増えていく。
 
趣味や彼女の有無はおろか下の名前も年齢も知らないし、会っても挨拶くらいしかしないけれどかっこいいなと感じる男性がいる。最近そのことを共通の知り合いの女性になんとなく話してみたら、彼女は本人に伝えてしまったらしい。次にその男性に会った時、少しだけ自己紹介をされた。ただそれだけのことだし、彼とこの先どうこうなるわけでもないけれど、恥ずかしくて気まずくてソワソワした。こういう日々が少し楽しくなるようなドキドキする刺激をずっと感じていたい。
 

都会の香り

関東に一週間ほど滞在し、今日やっと地元である愛知に帰ってきた。自分の家のお風呂ってこんなに落ち着く場所だったっけ。

私が田舎の芋女だからだと思うけれど、東京では電車を降りてから約30分の間に10人近い人に声を掛けられた。チラシの押し付け、アンケート、あるいはただのナンパ、目的が分からないスーツの男。
 
友達との待ち合わせに選んだ新宿駅の東口。特に意識した訳では無いけれど、ここを出たら歌舞伎町の女王になれるような気がした。初めて来るのに、私の庭だと思い込んでみたり。当然迷ったわけだけど。久しぶりに会った友達は、地元にいた頃よりもアイラインが跳ね上がっているように見えた。
 
東京は沢山の物と人が溢れすぎていて、隣を歩く人の匂いも声もよく分からない。これだから人混みは嫌いだ。
 
私の住む愛知の夏は気温も湿度も高くて、一言で表せば「最悪」だ。本当に不愉快だったはずなのに、都会の喧騒の中ではそこに戻りたくなってしまった。
 
何もかもが原色で、眩しく光っていて、耳鳴りがするほどうるさい東京の町。脳裏には、艶やかで深い青色と、私の隣で生温い風に揺れる重たそうなピアスだけが焼き付いている。
 
都会は大っ嫌い。また来るけどね。
 
 
初めて行った電子タバコの専門店は、とても甘い匂いで満ちていて、都会で1番素敵な香りのする場所だな、と思った。